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ウミガメが産卵で泣く理由

「ウミガメ」は海に生息している大型カメの総称。 日本の童話にもあるように日本人とウミガメの関係はとても深い。私たちにとっては馴染み深い生き物なのではないだろうか。 日本においてもウミガメの産卵地は小笠原諸島や南西諸島などと限られている。 産卵する場面はとても貴重なものでありなかなか見られるものではない。 たまたま流れているテレビの産卵シーンを目にしたとき、ウミガメが泣いていることに気づいただろうか。 産卵するときに泣くのはきちんとした「理由」がある。 そこで今回はウミガメがなぜ泣くのか、その理由について詳しく説明しよう。

まずは「ウミガメ」の特徴について

なぜウミガメは産卵時に涙を流し泣くのだろうか。 その理由について知る前に特徴を把握しなければならない。 まず、日本で見られるウミガメは5種類存在していることをご存じだろうか。 5種類の中でも産卵のために砂浜へやってくるのは「アカウミガメ」「アオウミガメ」「タイマイ」の3種類。 それぞれ種類によって時期は異なるが主に5月~7月下旬が産卵期になっている。 7月下旬になると卵が孵化して小さい赤ちゃんたちが砂浜を歩く。その時期になれば必死に砂浜から海へ歩いた足跡も見られる。   また、産卵が貴重なウミガメの生態は種類によって異なるのだ。 タイマイなどのような種類は基本的に沿岸から離れない。沿岸から近いところを泳いで生きている。 しかし、基本的に多いのは長距離にわたって海中を泳ぎ回る種類。 海中で生涯を過ごし、産卵時期にならないと砂浜には上陸しない。そのため、カメたちを間近で見られるチャンスは産卵期のみ。 産卵するときは海から砂浜にあがり自分の足を使って穴を掘る。そして、卵を産み落とす。なんと、1度におよそ100個の卵を産み落とすのだ。 すべての卵を産み落とした後、親ガメは卵を残して海に戻る。 砂の中で守られている卵はおよそ2か月で孵化すると言われており、孵化した後は海に戻ろうと必死に歩いていく。 しかし、海へ行く最中にはたくさんの危険が潜んでいる。 子ガメをエサとしている海鳥が捕食して数は減り、さらに、海にたどりついたとしても魚のエサになってしまうことがほとんど。 そのため、子ガメから成長できるのはほんのわずかな数しかないと言われている。   このように、子ガメが大人に成長するためには過酷な道を歩まなければならない。 1度に100個もの卵を産み落とすが、大人に成長するのはほんのわずかだという。

ウミガメが産卵時に泣くのは生態的な仕組み

産卵のシーンを見たときウミガメの目から涙が出ている。 素人が見ると「これからの過酷な道のりを考えて悲しんでいるのかな」「卵を産むのが苦しいのかな」と思いがちだが、決してそんなことはない。 涙を出しているのは、目が乾くのを防ぐための生態的な仕組み。 私たち人間も花粉が飛んでいる日や乾燥しているとき目の中に自然と涙がたまるはず。 涙がたまる理由は目の乾きや花粉が侵入しないように防止機能が働いているから。 つまり、ウミガメも同じ。産卵時に泣く様子は自分の体を陸で過ごす状況に順応している証になる。 今まで海の中で生活していたため陸にあがると目が乾燥してしまう。目が乾燥しないよう泣くことで自己防衛をしているのだ。   また、泣く理由はもう1つある。 それは「過剰な塩分を排出すること」。 ウミガメには海の生活に適応するためのさまざまな機能を持っている。あらゆる機能が正常に働いているからこそ海中で快適に生活できるのだ。 陸にあがったとき、体内にたまっている塩分を排出しなければならない。 目の横には「塩類線(えんるいせん)」と呼ばれている器官がある。塩涙腺(えんるいせん)は塩分濃度を調節するための大切な役割を担っており、陸にあがると機能が働く。 体の中に余分な塩分があると判断すれば塩涙腺(えんるいせん)から塩分が含まれた「水」が出てくるのだ。これを私たちが確認すると、あたかも泣くような姿に見えるというわけだ。 産卵時泣くような仕草を見せるため悲しんでいるように見えるが、実は生きるための大切な機能が働いている証拠。 以上のような2つの理由があって、私たちには泣く様子に見えている。

生きるための機能によって変化した「頭蓋」

ウミガメの四股は上下に平たい形をしている。 前脚は特に長く海中では動かしながら水をかき、後脚で舵を取っているのだ。 1度姿を見たことがある人はわかるようにウミガメの頭蓋は両目のくぼみを隔てる「骨の壁」がない。自然と退化してなくなっている様子がわかるだろう。 なぜ骨の壁がなくなっているのか、それは産卵時の泣く理由に関係している。 先述したように、産卵時に泣く理由は主に2つ。 ・目の乾燥を防ぐため ・体内の塩分を調節するため   陸にあがって順応する、生きるための大切な機能が働いている証拠でもあるのだ。 私たちから見たら産卵時泣くように見えてもウミガメにとっては生きるための大切な働き。2つの役割を果たすには目の横にある「塩涙腺(えんるいせん)」が大きなポイントになる。 つまり、目の横にある「塩涙腺(えんるいせん)」を収めるために「骨の壁」がなくなっているのだ。 このように、生態的な仕組みは本体そのものにも現れている。 また、機会があればテレビなどで産卵の様子を見るときは泣く姿を見せているかどうか確認してみよう。 海で優雅に泳いでいるカメたちも必死に卵を産み、生きているのだ。