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「斬り捨て御免」の本当の意味

時代劇を見ていると「斬り捨て御免」と言って相手を切るシーンが多い。 よく聞く「斬り捨て御免」の本当の意味を知っているだろうか。あなたが理解している意味とは大きく異なる。 そこで、斬り捨て御免の本当の意味について詳しく説明しよう。本当の意味を知るとますます時代劇が楽しくなるに違いない。

よく聞く「斬り捨て御免」は“江戸時代の身分事象”

「斬り捨て御免」をそのまま訳して理解している人は多い。 そのまま訳してしまうと「切っちゃってごめんね」という意味になる。本当の意味はまったく違う。 そもそも「斬り捨て御免」とは江戸時代の身分事象。武士に与えられた特権のことだ。 昔の人は己の信念や生き様をとても大切にしていた。目上の人や自分よりも身分の高いお殿様に対しては礼儀礼節をしっかりわきまえている。 それは戦でも強く現れているだろう。武士は負けを認めると自分で腹を切る。 「斬り捨て御免」も切腹と同様「武士の掟」になるのだ。 武士にとって「無礼」を受けたとき、相手が身分の低い者であれば切り殺しても罪に問われないという意味を持っている。 「切り殺しちゃってごめんね」という意味ではなく「無礼を働いたため切り殺す」、そして罪に問われない掟の意味を込めて言っているのだ。 正しい理解で時代劇を見るとまた違った観点から楽しめるだろう。

武士における「無礼」の意味とは?

「斬り捨て御免」において大切なのは「無礼」を働いたこと。 身分の相手であれば形振り構わず切り殺して良いわけではない。例えば、通行人の町人を切る、刀の切れ味を試すなどは言語道断。 そのような意図で人を切った場合「武士」ではなく「辻斬り」になり罰せられる。 つまり、身分の低い相手でも武士にとって「無礼」と感じたかどうかが大きなポイントになるのだ。 武士の受け取り方によって「無礼」は異なるもの。しかし、江戸時代において「無礼」は幕府・藩によって2段階にわけられていたと言われている。 武士を相手に故意で攻撃してきた者、仕事に対して妨害好意があったとき「無礼」に値するのだ。 無礼を働いた者に対し武士は自分の名誉を回復するために「斬り捨て御免」と相手を切ったという。 斬り捨て御免には「自分の名誉を回復する」ことと、自分の身を守る「正当防衛」2つの意味があったのだ。 時代劇においてどちらの意味に当てはまるのか考えてみると良い。 いきなりの攻撃で自分の命が脅かされたときは「自己防衛」、何かしら名誉が傷つけられ切り捨てようとしている場面は「名誉回復」の意味になる。

斬り捨て御免に隠された「武士の掟」

武士の掟である「斬り捨て御免」は相手を切り捨てた後も細かい掟が決められていた。 時代劇では描かれていなくても実際の江戸時代では以下のような掟があったのだ。 ・切り捨て後はすみやかに役所へ届け出ること ・人を斬った責任の重みを感じるため20日以上の自宅謹慎 ・斬った際の証拠品の押収 ・無礼な行為があったと証明するための証人が必要 以上のような条件がある。 「斬り捨て御免」でも相手に逃げられてしまえば不名誉になるため「切腹」しなければならない。自分の命をかけての斬り捨て御免なのだ。 当時、最後の条件である「証人」がなかなか見つけられず切腹してしまう武士もたくさんいたという。 時代劇では簡単に発言していると思うが「斬り捨て御免」の意味を知れば簡単に口に出して良い言葉ではない。 それなりの責任感を持たなければならないため、非常に重みのある言葉だったのだ。 とても厳しい武士の掟であることから当時は「斬り捨て御免」を利用して正当化されたケースは少ない。リスクがかなり高いため使おうとする武士はそれほど多くなかったのだ。 このように本当の意味を知ることで武士の凄さを改めて思い知らされるだろう。